佐野ラーメンの特徴

透き通った醤油スープの中にもキレる味

 ご当地ラーメンとしても、知名度は屈指の存在となった佐野ラーメンですが、実際どんなラーメンなのでしょう。
 まずはスープの特徴から見ていきましょう。
 見た目は、透き通ったスープで、さっぱりしている印象があります。醤油味の鶏ガラスープが主流です。なかには、塩や豚骨にアレンジされているものもあります。佐野ラーメンのスープは、基本は醤油ラーメンですが、その店毎に味にかなりの差異があり、店毎のオリジナル満載です。このスープは見た目同様あっさりしていて飲み干しやすいので、毎日食べても飽きがきません。その飲みやすさとしつこくない味は、ラーメン通や男性客でなくとも、子供、女性、お年寄りまで多くの層の人々に人気です。これなら、がっつりのラーメンまでは無理なお食事にも、お勧めできます。また、お酒を飲んだ後のあがりラーメンとしても良さそうです。

 また、佐野ラーメンにはしっかりと味にキレを感じます。飲み干しやすいにもかかわらず、もの足りないということがない満足度なのです。こってりの豚骨ラーメンとは違い、近々でも何度でもリピートしたくなります。佐野ラーメンのこの絶妙なキレ感は、きっと名水と言われるほどの良質の水を、使用しているからかと言えましょう。

 この良質の水に、佐野ラーメンの美味しさの秘密があることに間違いはありません。 したがって、佐野地方以外の場所では水質に違いがあるため、同じ味が出せないということになります。これではチェーン展開もむずかしく、佐野ラーメンが都内にも数点しかありません。都内進出していないのも、水質の違いが理由と言えるでしょう。佐野ラーメンは、現地でしか食べられないご当地ラーメンというわけです。観光ついではもちろん、佐野ラーメンがメインの観光としての価値もじゅうぶんあるでしょう。

モチモチ食感の巧みな手打ち麺

 次に佐野ラーメンの麺の特徴を見みましょう。
佐野ラーメンの麺の見た目は、太めの平打ちのちぢれ麺で、太さや長さも様々です。この麺は均等の厚さに広がった麺帯を、たたんでから包丁で切って作られます。それでも麺の厚さや太さが多少まちまちになり、これが手づくりのよさです。この特有の手作り感を出すために、一本の麺に異なった番手の包丁使用することもあります。厚さや太さが多少まちまちの麺は、スープの絡みをよくし、舌ざわりにも独特のアクセントのある食感を作り出しているのです

 そして、佐野ラーメンの麺は、<青竹の手打ちの麺が美味しいのは…>を見ていただければわかるとおり、 青竹の手打ち麺です。青竹打ちで製麺された麺は適度な空気が含まれているため、短時間で茹で上がります。これで、コシの強いツルツルとした麺が出来るのです。この技術が佐野市に広がり、手打ち麺を出すラーメン店が非常に多くあります。

 佐野ラーメンは多加水麺のため、プルプルした中にモチモチ感があって、とにかく柔らかいのが最大の特徴です。ピラピラと唇で踊る感覚で、店によっては、ワンタンの皮に近い食味と感じるものもあります。そして、多加水麺は水分たっぷりのため、伸びにくいという長所があります。その反面、水分が多いため、麺にスープが絡まりにくいという欠点もあります。しかし、佐野ラーメンの麺は厚さや太さがまちまちなので、スープに絡みやすくなっていて、この欠点は問題なしです。麺についての冒頭でご説明したように、手間をかけた工夫がなされ、佐野ラーメンの美味しさを保っていると言えます。

 また、多加水麺は水分量が多いので、長期保存ができないという難点も抱えています。つまり、佐野ラーメンを美味しく食べるには、作ってすぐに食べるのがベストということです。ある意味、これらの特徴は良くも悪くも、観光向けのラーメンとして最適なのかもしれません。佐野ラーメンは、ぜひ現地で食べてもらいたいご当地ラーメンということなのです。

素朴な具材と柔らか~いチャーシュー

 最後に引き立て役ともなる佐野ラーメンの具材について見てみましょう。
佐野ラーメンの具材は、佐野ラーメンの具材は、昔ながらのシンプルなものです。具材としては、チャーシュー、なると、メンマ、ねぎ、のり、わかめなどがあります。その中でも主な具は、柔らかチャーシューと、基本である刻み長ねぎ(白ねぎ)です。

 チャーシューは、佐野ラーメンの一大特徴でもあります。作り方、味付け、食感は店ごとに差異が大きいです。一般的なチャーシューとは、豚肩ロースブロックや豚バラブロックを塊のまま、たこ紐で縛ってタレに漬け込んだ後焼いたものを薄くスライスしたものをいいます。しかし佐野ラーメンの店のほどんどで採用しているのは煮豚です。煮豚は、豚肩ロースブロックや豚バラブロックを塊のまま、醤油、砂糖等で丸ごと煮た後、薄切りにしたものをいいます。 佐野ラーメンのチャーシューは、店にもよりますが、かなりの柔らかさです。箸で持ち上げると崩れてしまう程の柔らかさを売りにしている店もあります。また、最近では、ローストビーフ、シーフードなどの変わり具をアレンジしているところもあるようです。

 このように佐野ラーメンの具材は、見た目はシンプルながらにも、チャーシューをはじめとして秘伝の味付けが隠されているというわけです。透き通ったあっさりスープと青竹の手打ち麺、これらの具材が加わり、佐野ラーメンの美味しさを一層引き立てています。

 このようにスープ・麺・具、独自の特徴が、互いに引き立て合い全体の佐野ラーメンとしての味を作り上げていると言えますね。この佐野ラーメンの美味しさとは、いったいどこからきているのでしょうか。
佐野ラーメンの美味しさの理由とはここにありました。

佐野ラーメンの美味しさの秘密はこちらです»

佐野ラーメンの美味しさの秘密

佐野は、ラーメン作りに最適な地

 そもそもこの佐野の地に、美味しいラーメン店が多く点在しているのはどうでしてなのでしょう。
佐野ラーメンは、気候、風土が味を作っているとも言われています。北に日光連山を控える佐野地方の気候は、冬はからっ風の多い乾燥地で湿度が低く、夏は内陸型の蒸し暑さが特徴です。この気候、風土と佐野ラーメンの美味しさとの関連性はどんなことなのでしょう。
 そして、良い素材が無くては美味しいラーメンを作ることは不可能です。まずは、ラーメンの原料について探ってみましょう。ラーメンの麺は、小麦、水、かん水、(塩、その他の添加物)が原料となります。

第一主原料、小麦

 昔から佐野は、二毛作による麦の生産が盛んで粉食文化豊かな地域だったそうです。ラーメンの主成分である小麦の生産地なので、麺に適した良質の小麦が使用できます。また、国内産小麦は約8%、残り92%は輸入というのが、近年の現状です。そんななか、佐野らーめんの多くは、国産の小麦粉を使用しています。

美味しいスープの基本である水、水分たっぷり麺の水

 佐野ラーメンの麺は多加水麺と言われ、麺にはたっぷりの水分が含まれています。加水麺とは、加水率35%を超える水分たっぷりの麺のことです。加水率とは、麺を作る際に小麦粉100に対する水の比率で、この割合を変えることで麺の性質は大きく変わります。佐野ラーメンの加水率は非常に高く約50%です。ゆでる際にも大量の水を使用するので、やはりどのような水を使用しているかは、かなり重要ということになります。
 佐野市の上水道は、豊富で清澄な各地の地下水が水源です。そこから各家庭に、きれいでおいしい水を給水しています。日光連山の裾野にあたる佐野地方は、麺づくりにかかせない水にも恵まれている立地です。佐野市には「名水百選」にも選定されている出流川弁天池湧水がありまます。石灰質の地層に磨かれた良質な名水です。佐野市には他にも有数の名水が健在します。そのことからも、佐野ラーメンは、良質な名水レベルのおいしい水を使用できるのです。

佐野の名水について知りたい方はこちらをご覧ください»

佐野発祥でもある青竹手打ちの麺

青竹の手打ちの麺が美味しいのは…

 佐野ラーメンと言えば、まず、太めの平打ちのちぢれ麺が印象的です。佐野ラーメンの麺は、青竹打ちの手打ち麺が主流になります。青竹打ちとは、小麦粉を練り打ち台の上にのせて、身の丈以上もある長くて太い青竹にのり、前後に移動しながら伸ばしていく製麺技法です。水分が多いほど美味しい麺が作れるといいます。通常、一般のロール製麺機ではベタベタして麺にすることができません。これも青竹打ちなら、多加水麺でもじゅうぶん可能なのです。

 青竹打ちは、麺を練りながら伸ばせるため、多い水分でも製麺できます。水分と粉の粒子とが密接に結合し、コシの強いおいしい麺のなるのです。麺の中の気泡がクッションのような役割を果たし、その反発力が麺のコシになります。麺の中に気泡が多いため熱伝導がよく、ゆで時間も短くてすみます。これが、青竹打ちならではのラーメンのおいしい理由です。

 佐野ラーメンの麺は水分たっぷりの多加水麺なので、青竹打ちに最適と言えます。そして、この巧みな青竹打ちの製麺技術が、佐野ラーメン独自の美味しさのカギとなっているのでしょう。

青竹の手打技法と佐野ラーメンのはじまりは…

 青竹打ちのが佐野に伝承されたのには、由来があります。古くは大正時代、エビス食堂という洋食店に当時働いていた中国人コックが、青竹で打つ手打ち麺を出したのが青竹打ちのはじまりです。それはつまり、佐野らーめんのはじまりとも言えるでしょう。

 また、佐野には昭和初期から、人口5万人ぐらいの町に150軒を超えるラーメン店があったといいます。訪問客に出前を取ってもてなすなど、庶民のごちそうとしても親しまれていたそうです。佐野は、この頃からすでに、ラーメンの街だったということになりますね。

ラーメンの街として一躍、観光地となった佐野市

ラーメン観光客も多数、人口1万人あたりのラーメン店数が日本一の佐野市

 最近では、全国でもご当地ラーメンとして認知度が高まってきている「佐野ラーメン」。佐野には、立地や気候に恵まれた自然と、知名度の高い佐野厄除け大師、佐野プレミアムアウトレットなどの有名観光スポットがあります。
佐野のおすすめ観光スポット»

 そのため、佐野のラーメン店には、地元客はもちろん、栃木・佐野の観光ついでや、佐野ラーメンを食べる目的を観光としたお客さんで賑わっています。佐野のラーメン店では、県外ナンバー(観光客)と思われる車も多く、昼時には長蛇の列を作っている人気店も多いです。佐野市は、東京から自動車で約1時間半という、都心から手頃な場所にあります。東京や関東近郊から 日帰りドライブ気分でも観光に来れるというわけです。また、東京近郊からのゴルフ客が、佐野ラーメンの美味しさを口コミで伝えて、評判を呼んだとも言われています。

 そして佐野市は、人口1万人あたりのラーメン店数が日本一とも言われています。佐野市には、人口12.3万人に対し200軒以上のラーメン店があるそうです。その中には、自信をもって昔ながらの味を継承するマイペースの老舗店が多数存在します。また、新しい店の多くは、独自の工夫を重ねて味を競い合っています。各店舗の技術が切磋琢磨することにより、佐野ラーメン全体の味レベルがどんどん上がっているのでしょう。このようにして、現在も佐野ラーメンが、美味しいご当地ラーメンとして、堂々と存続しているのです。

「ラーメンの街・佐野」として観光客獲得に成功

 昭和63年(1988)には、「佐野ラーメン会」が発足されました。現在77店舗の佐野ラーメン店が加盟しており、店頭にある「佐野ラーメン会」の赤いのぼり旗が目印です。もちろん、加盟店以外でも、個性派や素朴な人気店は多くあります。この頃から、佐野ラーメン会発行のラーメンマップを片手に、ラーメン巡りをする観光客の姿も見かけるようになりました。

 この佐野ラーメン会発足以降、佐野市が打ち出した観光産業が、「ラーメンの街・佐野」です。佐野のラーメン店は、市外県外のイベントに積極的に出店活動するようになりました。テレビ・新聞等マスコミで、佐野ラーメンがPRされだしたのもこの頃です。その結果、当時約100万人の佐野の観光客入れ込み数が、2002年では約263万人となり、「ラーメンの街・佐野」として観光客獲得を成功させています。

 観光振興において重要な役割を果たした佐野ラーメンは、現在では佐野には外すことのできない観光資源のひとつです。そして、佐野市民の重要な食文化として、食卓でも外食でも親しまれ続けています。「ラーメンの街・佐野」で一役を果たしたこの佐野ラーメンとは、どんなラーメンなのでしょうか。
まずは、佐野ラーメンの特徴から見ていってみましょう。

佐野ラーメンの特徴»