佐野ラーメンの美味しさの秘密

佐野は、ラーメン作りに最適な地

 そもそもこの佐野の地に、美味しいラーメン店が多く点在しているのはどうでしてなのでしょう。
佐野ラーメンは、気候、風土が味を作っているとも言われています。北に日光連山を控える佐野地方の気候は、冬はからっ風の多い乾燥地で湿度が低く、夏は内陸型の蒸し暑さが特徴です。この気候、風土と佐野ラーメンの美味しさとの関連性はどんなことなのでしょう。
 そして、良い素材が無くては美味しいラーメンを作ることは不可能です。まずは、ラーメンの原料について探ってみましょう。ラーメンの麺は、小麦、水、かん水、(塩、その他の添加物)が原料となります。

第一主原料、小麦

 昔から佐野は、二毛作による麦の生産が盛んで粉食文化豊かな地域だったそうです。ラーメンの主成分である小麦の生産地なので、麺に適した良質の小麦が使用できます。また、国内産小麦は約8%、残り92%は輸入というのが、近年の現状です。そんななか、佐野らーめんの多くは、国産の小麦粉を使用しています。

美味しいスープの基本である水、水分たっぷり麺の水

 佐野ラーメンの麺は多加水麺と言われ、麺にはたっぷりの水分が含まれています。加水麺とは、加水率35%を超える水分たっぷりの麺のことです。加水率とは、麺を作る際に小麦粉100に対する水の比率で、この割合を変えることで麺の性質は大きく変わります。佐野ラーメンの加水率は非常に高く約50%です。ゆでる際にも大量の水を使用するので、やはりどのような水を使用しているかは、かなり重要ということになります。
 佐野市の上水道は、豊富で清澄な各地の地下水が水源です。そこから各家庭に、きれいでおいしい水を給水しています。日光連山の裾野にあたる佐野地方は、麺づくりにかかせない水にも恵まれている立地です。佐野市には「名水百選」にも選定されている出流川弁天池湧水がありまます。石灰質の地層に磨かれた良質な名水です。佐野市には他にも有数の名水が健在します。そのことからも、佐野ラーメンは、良質な名水レベルのおいしい水を使用できるのです。

佐野の名水について知りたい方はこちらをご覧ください»

佐野発祥でもある青竹手打ちの麺

青竹の手打ちの麺が美味しいのは…

 佐野ラーメンと言えば、まず、太めの平打ちのちぢれ麺が印象的です。佐野ラーメンの麺は、青竹打ちの手打ち麺が主流になります。青竹打ちとは、小麦粉を練り打ち台の上にのせて、身の丈以上もある長くて太い青竹にのり、前後に移動しながら伸ばしていく製麺技法です。水分が多いほど美味しい麺が作れるといいます。通常、一般のロール製麺機ではベタベタして麺にすることができません。これも青竹打ちなら、多加水麺でもじゅうぶん可能なのです。

 青竹打ちは、麺を練りながら伸ばせるため、多い水分でも製麺できます。水分と粉の粒子とが密接に結合し、コシの強いおいしい麺のなるのです。麺の中の気泡がクッションのような役割を果たし、その反発力が麺のコシになります。麺の中に気泡が多いため熱伝導がよく、ゆで時間も短くてすみます。これが、青竹打ちならではのラーメンのおいしい理由です。

 佐野ラーメンの麺は水分たっぷりの多加水麺なので、青竹打ちに最適と言えます。そして、この巧みな青竹打ちの製麺技術が、佐野ラーメン独自の美味しさのカギとなっているのでしょう。

青竹の手打技法と佐野ラーメンのはじまりは…

 青竹打ちのが佐野に伝承されたのには、由来があります。古くは大正時代、エビス食堂という洋食店に当時働いていた中国人コックが、青竹で打つ手打ち麺を出したのが青竹打ちのはじまりです。それはつまり、佐野らーめんのはじまりとも言えるでしょう。

 また、佐野には昭和初期から、人口5万人ぐらいの町に150軒を超えるラーメン店があったといいます。訪問客に出前を取ってもてなすなど、庶民のごちそうとしても親しまれていたそうです。佐野は、この頃からすでに、ラーメンの街だったということになりますね。